
遺言書で「全財産を長男に相続させる」と書けば、その通りになる――実は、そう単純ではありません。「遺留分」という最低限保障された相続分があり、これを侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」ができるのです。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・親)に認められた、最低限の取り分です。例えば、子どもの遺留分は法定相続分の2分の1。本来4分の1もらえるはずの子が遺言でゼロとされた場合、8分の1(=4分の1×2分の1)を金銭で請求できます。
請求権は「相続開始と遺留分侵害を知った時から1年以内」に行使する必要があり、期限を過ぎると権利が消滅します。請求されると、多くもらった相続人は金銭での支払いを求められ、トラブルに発展しがちです。
トラブルを防ぐコツは以下の3つです。①遺留分を考慮した内容にする、②遺言書に「付言事項」として、なぜそのような分け方にしたのか理由や想いを書く、③生前に家族で話し合っておく、です。
特に付言事項は法的効力はありませんが、故人の気持ちを伝えることで、相続人の納得感を高める効果があります。「長男には事業を継いでもらうため」など、背景を丁寧に説明しましょう。専門家のアドバイスを受けながら、感情にも配慮した遺言書を作成することが大切です。


