家族信託

家族信託

家族信託とは

 一言で表すと、家族信託とは「もしもの時に備えて、自分の財産管理を信頼できる家族に託す仕組み」のことです。

わかりやすい例え話

 家族信託をイメージしやすくするために、「金庫の鍵」で例えてみましょう。これまでは、親御さんの財産(預金や不動産)という「金庫」は、親御さん自身しか開けられませんでした。
 そのため、もし親御さんが認知症などで判断能力を失ってしまうと、たとえ家族であっても金庫を開けられず、介護費用の支払いや実家の管理ができなくなってしまう「資産凍結」という致命的なリスクがあります。

 そこで家族信託の出番です。

 元気なうちに、信頼できるお子さんなどの家族と契約を結び、「金庫の合鍵」を渡しておくのです。そうすれば、いざという時に親御さんが自分で管理できなくなっても、鍵を託された家族が代わりに金庫を開け、親御さんのために大切にお金を使うことができます。

金融機関がインターネットバンキングの不正利用(規約違反)や本人の認知判断能力の低下を検知した場合の取りうる措置。

時系列具体的なリスク
1.インターネットバンキング契約の強制解約 インターネットバンキングの利用規約(ID・パスワードの第三者提供禁止・本人専属利用)に違反したとして、ネットバンキング機能そのものが即時停止・強制解約されます。
 これにより、窓口に行かないと手続きができなくなります。
2.口座の凍結(入出金の停止) 最も深刻なのがこれです。 「本人が操作していない=本人の意思確認ができない」あるいは「本人の判断能力が低下している」と判断された瞬間、口座自体が凍結されます。
 預金の引き出し、振り込み、口座振替(公共料金の引き落とし等)がすべてストップします。
 施設の入居費用だけでなく、日々の生活費の引き出しもできなくなります。
3.成年後見制度利用の要請 一度口座が凍結されると、原則として「法定後見人(成年後見人等)」を選任しない限り、凍結は解除されません。
 家族が窓口で「入居費のためだ」と事情を説明しても、法的な代理権がないため応じてもらえません。
 親族が後見人になれるとは限らず、の専門職後見人がつく可能性があります(専門職への報酬コストが発生し続けることになります)。
4.遡及的な返還請求や損害賠償リスク 親御様の判断能力が既に著しく低下していた場合、その取引自体が「無権代理」や「不当利得」とみなされる法的な火種になります。
 将来の相続発生時、他の相続人から「勝手に引き出した」として使途不明金扱いされ、遺産分割協議で紛糾する原因(特別受益の持ち戻しや不法行為に基づく損害賠償請求)になります。

なぜ金融機関は検知できるのか?

「バレないだろう」と思っていても、近年の金融機関のモニタリングシステムは高度化しています。

IPアドレスや端末情報の不一致普段と異なるIPアドレス(遠隔地の子の自宅など)や、未登録のデバイスからのアクセス。
生体認証・二要素認証の壁最近のアプリは顔認証や、登録電話番号へのSMS認証が必須です。親御様のスマホを子が操作しようとして、何度も認証エラーになるとロックがかかり、電話確認が入ることがあります。
取引パターンの急変普段動かない口座から、突然「施設入居費」として数十万~数百万単位の送金が行われると、マネーロンダリング対策や特殊詐欺対策の検知システム(AML/CFT)のアラートが作動します。
電話問い合わせ時のボロ操作ミス等でヘルプデスクに電話した際、声の主が明らかに高齢者でない(あるいは横で指示している声が聞こえる)場合、即座に本人確認が厳格化されます。

家族信託の登場人物は主に3人

 法律用語では難しい言葉が使われますが、役割はシンプルです。

委託者(いたくしゃ)=「託す人」

財産を持っているご本人(親など)。

受託者(じゅたくしゃ)=「託される人」

財産を預かって管理する家族(子など)。

受益者(じゅえきしゃ)=「利益を受ける人」

  • 財産から生じる利益(生活費や家賃収入など)を受け取る人。
  • 基本的には「委託者(親)」と同じ人になることが一般的です。
  • つまり、「管理は子供に任せるけれど、そのお金を使うのは親自身」という形です。

家族信託でできる「3つの安心」

 この仕組みを使うことで、ご家族には大きく3つのメリットが生まれます。

認知症になっても「資産凍結」しない

 親御さんが認知症になっても、銀行口座が凍結されたり、実家が売れなくなったりする心配がありません。託された家族がスムーズに手続きできます。

柔軟な財産管理ができる

 裁判所などが介入する制度(成年後見制度)とは違い、家族同士で決めたルールに従って、リフォームや投資、孫への贈与など、柔軟にお金を使うことができます。

遺言書代わりにもなる

 「自分が亡くなった後は妻へ、その次は長男へ」というように、財産の引き継ぎ先をあらかじめ決めておく機能も持っています。

こんな方に向いています

将来の認知症に備えたい方

 認知症なった場合でも、あらかじめ決めておいた家族が財産管理を行えるようにしたい方。

不動産の管理・活用を継続したい方

所有する不動産の賃貸運用や将来の売却などを、円滑に行いたい方。

相続対策を考えている方

 複雑な相続問題を避け、スムーズな資産承継を実現したい方に最適な選択肢です。家族信託は、「元気なうちだからこそできる、家族への愛のリレー」です。

  • まだ元気だけど、将来が少し不安。
  • 子供に迷惑をかけたくない。
  • 財産管理で家族が揉めないようにしておきたい。

 そう思われた時が、検討のタイミングです。それぞれの家庭に合った設計が必要ですので、まずは一度お気軽にご相談ください。

家族信託と遺言・成年後見との違い

家族信託と遺言との違い

 「相続の準備」といえば遺言書があります。 一方、家族信託も、財産を引き継ぐ機能を持っています。
 「遺言書があれば、家族信託はいらないの?」 「家族信託をすれば、遺言書は書かなくていいの?」このようなご質問を頂きます。2つの制度の違いや使い分けのポイントを整理しました。

比較項目遺言書家族信託
しくみのイメージイメージ: 「亡くなった瞬間に開封される指示書

役割: ご本人が亡くなったに、「誰に何を渡すか」を指定する一点集中型のツールです。生前の財産管理には使えません。
イメージ: 「元気なうちから次世代まで続くリレーのバトン

役割: 生前の認知症対策(財産管理)からスタートし、亡くなった後の承継、さらにその次の世代への承継まで、長い期間にわたって財産をコントロールします。
効力の発生ご本人の死亡時
・ 生前には何の効果もありません。
契約時(元気なうち)から
・ 契約したその日から財産管理や承継のルールが有効になります。
認知症対策
(生前の管理)
できません
・ 認知症で口座が凍結されても、遺言書では解約や引き出しができません。
できます
・ 認知症になっても、託された家族が管理・運用・処分を続けられます(口座凍結を防げます)。
引き継ぎ先の指定
(何代先まで?)
「次の人」まで
・ 「妻に渡す」までは指定できますが、「妻が亡くなったら長男へ」という次の指定は法的に無効です。
「その先の人」も可能
・ 「自分が死んだら妻へ、妻が死んだら長男へ」というように、数世代先まで財産の行き先を決められます。
対象となる財産すべての財産
・ 「全財産を○○へ」といった包括的な指定も可能です。
契約に入れた財産のみ
・ 信託契約書に記載し、名義を変えた財産(不動産や信託口口座に入れた金銭)だけが対象です。
手続きのスムーズさ手続きが必要
・ 実際に財産を移すには、金融機関での手続きや不動産登記が必要で、時間がかかる場合があります(自筆の場合は「検認」も必要)。
非常にスムーズ
・ すでに管理権限が受託者(家族)に移っているため、死亡時の手続きは簡単で、すぐに資金を活用できます。
書き換え・変更本人のみ可能
・ 認知症になり判断能力がなくなると、書き直しや撤回ができなくなります。
柔軟に変更可能
・ 本人が認知症になっても、受託者と受益者の合意など、あらかじめ決めたルールに従って内容を変更できます。
費用比較的安い
・ 公正証書遺言でも数万円~十数万円程度で作成可能です。
高め
・ 設計や契約書作成、登記費用などで数十万円~の初期費用がかかることが一般的です。
遺言書が向いているケース家族信託が向いているケース

・生前の財産管理(認知症対策)には不安がない、または別の方法で備えている。
・財産の内容がシンプルで、特定の相手に一回渡せれば十分である。
・できるだけ費用をかけずに、相続争いを予防したい。
・手元にあるすべての財産について、漏れなく行き先を指定しておきたい。
認知症による資産凍結が心配で、元気なうちに対策しておきたい。
・「先祖代々の土地」や「自社株」があり、妻の次は長男、その次は孫…と承継ルートを確実に指定したい
・不動産経営をしており、認知症になっても大規模修繕や売却ができるようにしておきたい。
・障がいのある子がおり、自分が亡くなった後も長期間にわたって財産管理をしてあげたい(親なき後問題)。

 実は、遺言書と家族信託は「どちらか一つ」ではなく、組み合わせて使う(併用する)ケースが非常に多いです。
 なぜなら、家族信託は契約に入れた特定の財産(自宅やまとまった現金など)しか管理できないからです。信託に入れないまま手元に残した年金口座や予備の預貯金については、遺言書で承継先を指定しておくのが安心です。

  • メインの資産(不動産など) → 家族信託で認知症対策&承継指定
  • 手元の生活資金やその他の資産 → 遺言書でシンプルに指定

 このように使い分けることで、生前から死後まで隙のない対策が可能になります。 「自分の場合はどう組み合わせるのがベストか」については、ぜひ一度ご相談ください。

家族信託と成年後見との違い

 成年後見制度は裁判所の監督下で行われますが、家族信託は家族間の信頼関係に基づいて柔軟な財産管理が可能です。

比較項目成年後見制度(法定後見)家族信託(民事信託)
しくみのイメージイメージ: 「家庭裁判所が監督する厳格な金庫」

役割: 判断能力が低下したご本人の財産を減らさないように、ガッチリと守ることが最優先です。
イメージ: 「家族でルールを決めるオーダーメイドの財布」

役割: ご本人が元気なうちから、信頼できる家族に財産管理を託し、柔軟に活用・運用したり、次の世代へ引き継いだりします。
開始のタイミング判断能力が低下した後に利用開始判断能力があるうち(元気なうち)に契約して開始
財産の使い道ご本人のためだけに使用
・ 原則として、ご本人の生活費や医療費のみに使えます。
家族のためにも使用可能
・ 契約で決めれば、配偶者の生活費や孫の学費などにも使えます。
財産管理の柔軟性「守る」ことが最優先
・ 投資や運用は原則できません。
・ 生前贈与や大規模なリフォームも難しい場合があります。
・ 住まなくなった実家の売却には、裁判所の許可が必要です。
「活用」も可能
・ 契約の内容次第で、積極的な不動産活用や投資が可能です。
・ 実家の売却やリフォームも、託された家族の判断でスムーズに行えます。
身上保護
(契約の手続き)
できます
・ 施設入所や入院の契約手続きを代理で行えます。
原則できません
・ 家族信託は「財産」の管理のみです。
・ 身上保護が必要な場合は、他の制度との併用が必要です。
財産の引き継ぎ
(相続対策)
できません
・ 誰に財産を渡すか決める機能はありません(遺言書が必要です)。
できます
・ 「自分が亡くなったら妻へ、妻が亡くなったら長男へ」のように、数世代先まで指定できます(遺言書代わりになります)。
費用継続的にかかる場合がある
・ 専門家が後見人に選ばれると、毎月報酬(月額数万円〜)が発生し続けます。
初期費用がかかる
・ 設計や契約書作成の初期費用は高めですが、家族が管理するため月々の報酬は基本かかりません。
監督する人家庭裁判所
・ 厳格な報告義務があります。
家族・親族
・ 裁判所の関与はありません(別途、監督人を置くことも可能です)。
成年後見制度が向いているケース家族信託が向いているケース
・すでに認知症が進行していて、契約行為ができない状態である。
・身寄りがなく、信頼して財産を任せられる家族が近くにいない。
・財産を誰かに使い込まれる心配があり、第三者(専門家)に管理してほしい。
・施設入所などの契約手続き(身上保護)をメインにお願いしたい。
・まだ判断能力はあるが、将来の認知症リスクに備えたい。
・アパート経営や株式投資をしており、認知症になっても運用を続けたい。
・「自分が亡くなった後は、特定の孫に財産を渡したい」などの希望がある。
・裁判所の関与を受けず、家族だけで柔軟に財産管理をしていきたい。

 成年後見制度と家族信託は、どちらか一方しか選べないわけではありません。 例えば、「財産の管理は家族信託で行い、施設契約などの身上監護は任意後見(将来の後見人予約)で備える」といった併用プランも有効です。

サポート内容

設計(受託者・受益者・目的)

 お客様のご希望や状況に合わせて、最適な信託スキームを設計します。誰が財産を管理するか(受託者)、誰のために管理するか(受益者)、どのような目的で管理するか(目的)を明確にします。

契約書作成・公正証書

 信託契約書を作成し、公証役場(公証人)と法的整合性の確認をします。

信託財産の管理(信託口口座(しんたくぐちこうざ)・不動産の信託登記)

 公正証書のドラフト(原案作成)の段階から金融機関と緊密に打ち合わせをし、信託設定後の信託口口座の開設や不動産の信託登記(司法書士と連携)など、実務的な手続きをサポートします。

信託口口座(しんたくぐちこうざ)とは?

名義が「委託者 父 信託受託者 長男」といった形式の信託専用口座です。
 銀行側も「これは信託財産である」とシステム上で認識します。
 倒産隔離機能があり、受託者(長男)がもし破産したり、長男個人の借金で差押えを受けても、この口座は差押えの対象外となります。
 また、委託者や受託者に相続が発生しても、個人の口座のように凍結されず、スムーズに後継受託者へ引き継げます。

不動産と家族信託の実務

賃貸運用・売却時の留意点

  • 信託財産となった不動産の賃貸契約の締結方法
  • 家賃収入の管理と分配の仕組み
  • 将来の売却に備えた契約条項の設計
  • 信託期間中の修繕・リフォームの取り扱い

登記・税務連携の体制

  • 信託登記の適切な手続き
  • 税務申告における注意点
  • 司法書士・税理士との連携体制
  • 信託財産に関する税金の最適化

費用の目安・期間

初回相談料

30分 無料現状の把握と家族信託の適合性を確認します。

信託設計料

家族信託設計コンサルティング報酬信託財産評価額(固定資産税評価額)の 1.0%(税別)
最低額 \400,000円(税別)
公正証書作成報酬(起案・公証役場対応)¥50,000(税別)
金融機関交渉(信託口口座開設)¥50,000(税別)
信託が組成できなかった場合

万が一、銀行交渉が不調で信託が組成できなかった場合は、着手金(10万円(税別))のみ頂戴します。

実費・別途

【実費】公証役場手数料約 ¥30,000(税別) ~
(信託財産額による法定費用)
【実費】登録免許税(不動産がある場合)【信託分】固定資産税評価額の 0.4%(土地 0.3%)
【所有権移転分】非課税(登録免許税法第7条第1項1号)
【別途】信託登記費用(不動産がある場合の司法書士報酬)約 ¥100,000 (税別)~
【別途】金融機関特別対応
・金融機関の承諾書が必要な場合(抵当権の被担保債権が完済されていない場合。)
・債務引受(免責的債務引受、重畳的債務引受)の抵当権変更登記が必要な場合。
\100,000+登記費用

実施期間

初回相談から約1〜2ヶ月
お客様のご要望や財産の状況により変動します。

ご相談の流れ

1.初回相談現在の資産状況や将来の希望をお聞きし、家族信託の適合性を確認します。
2.信託スキームの設計受託者・受益者・目的など、最適な信託の形を設計します。
3.契約書の作成法的に有効な信託契約書を作成し、内容を詳しく説明します。
4.契約の締結信託契約を締結し、公正証書にします。
5.実務手続き信託口口座の開設や信託登記(不動産がある場合)などの手続きを行います。

 よくある質問

Q
家族信託は誰でも利用できますか?
A

基本的には誰でも利用できますが、信頼できる家族がいることや、管理したい財産があることが前提となります。特に不動産や金融資産をお持ちの方に適しています。

Q
成年後見制度との併用は可能ですか?
A

可能です。家族信託で対応できない部分を成年後見制度で補完するなど、状況に応じた組み合わせが効果的な場合があります。

Q
信託した後に内容を変更できますか?
A

契約時に変更の条件を定めておくことで、一定の範囲内での変更が可能です。ただし、委託者の判断能力が低下した後は変更が難しくなるため、当初の設計が重要です。

Q
税金面でのメリットはありますか?
A

家族信託自体は節税対策ではありませんが、適切に設計することで、将来の相続税対策や不動産の有効活用による収益確保などの効果が期待できます。

家族信託お問い合わせフォーム

    家族信託に関するご相談を承ります。
    ご不安なことやご質問など、お気軽にお問い合わせください。
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    ※初回相談は無料です。秘密は厳守いたしますので、安心してご相談ください。